小さな祈りのページ

息と心の祈り


マスクをしている
そのため気になるか否かくらいの息苦しさを感じている
咳が気になる
自分の咳も他人の咳にも不安と恐怖がある
緊張感に覆われている
他人に近づかぬようにとどこか張りつめた気持ちでいる
長い時間を一人でいる
話すことが減っていると気づき鬱々と空虚さを感じている
息と心はつながっている
深呼吸をしよう
安心できるところでいい
家の中でも周りに人がいないところでもいい
手を広げ
胸いっぱいに息を吸い込み
声を出しながら吐き出そう
そして心が少しだけゆるんだら
こんな今でも感じられる小さな幸せを見つけて
平穏や救いを願う祈りとともに
感謝の祈りをしよう
そう私は思う

2023年07月07日

詩 呪文ではなく

 

不憫な言葉たちがいる
自由、平等、正義
この言葉たちは異用されていると思えてならない
自由を盾にして他者を傷つける
平等を唱えて利己のみを考える
正義を振りかざして在りもしないはずの敵を作り攻撃する
誰とは言わないが
武器のようにこの言葉たちを操って
病のようにこの言葉たちに操られて
ゴツゴツとした塊をせっせと生産している人間はいやしないか
この言葉たちが生まれたとき
こんな使い方をするために生まれた訳ではなかったはずなのに
この言葉たちは
呪文ではなく祈りの言葉として生まれたはずなのに

2022年01月17日

しあわせのための祈り

作ろうと試みた
しかしながら作れるものではなかった
探そうと動き回った
しかしながら見つかるものではなかった
そもそもそれははじめから傍にあった
気づけていなかっただけであった
しあわせとは
作るものではなく
探すものではなく
祈りとともに
気づくものだった

2021年10月02日

誠実を求める祈り


誠実さが嘘をつかないことだというならば
少なくとも相手を陥れたり自分の保身のために
わたしは嘘をつかないでいたい
誠実さが私利私欲で物事を考えないことだというならば
少なくとも偽善と見栄の皮をかぶらせず
わたしは相手の気持ちを想像したい
誠実さが怠惰にならないことだというならば
少なくとも誰かや何かの所為にせず
わたしは一所懸命を増やしたい

2021年06月13日

不直の祈り


正直になるのはなんと難しいことか
思考に正直なれば
感情に不直となる
感情に正直なれば
思考に不直となる
何に正直であればよいのであろう
自分に正直に
かの人に正直に
皆に正直に
不思議なもので
何かに正直なれば
それ以外に不直となることの何と多いことか
ならば不直であってもよいのであろう
翻るならば
何かに不直ならば何かに正直とも言えようし

2020年11月20日

窓辺の祈り


目に映るあざやかな新緑の木々
その匂いを吸い込むことはない
ゴトゴトと吹きあたる木枯らし
目を細めて塵をさける必要はない
一面を灰青色に染める長い雨
手先がかじかみ冷えることはない
私はいつも窓辺に立っている
透明な薄い一枚の隔たりのあちらを
目と耳でしか感じぬ窓辺に立っている
陽の光が射し込む
温かな空気が窓辺の私を包む
窓辺にいながら目と耳以外で感じとれる
そのいざないは私に窓の鍵を開けさせる

2020年08月31日

笑顔の祈り


不安で笑顔を忘れているなら
不安がなくならなくても
安心っていう気持ちも持てることに気づこう
それは好きな人と話をして笑顔になって分かること
恐怖で笑顔を忘れているなら
恐怖がつきまとっていても
怯える気持ちからは離れられることに気づこう
それは他人を勇気づけその人が笑顔になって分かること
不安も恐怖も自分で大きくしてしまうもの
だから自分から小さくすることができる
笑顔を作ることがその方法
そんなことを祈っている
この祈りが届きますように

2020年04月24日

詩 私と世界

 

わたしの眼からしか見ていない
わたしの耳からしか聞いていない
わたしの肌からしか感じていない
それをわたしの頭でしか受けていない
わたしと世界とのつながりは
つねにそのようにある
つねにそのようにしかない
主観から逃れられないわたしは
主観を避けて客観を求めるのではなく
主観の広がりを求めて生きよう
わたしは私なのだから

2020年02月28日

静かな祈り


言葉をつくす
伝わると信じて
多くの言葉をもちいて
何度も何度も
そうして
言葉のむなしさに出会う
言葉に頼る危うさを知る
言葉が凶器になると理解する

言葉を捨てる
届くと信じて
一つも言葉をもちいず
遠くから遠くから
そうして
自分の弱さに出会う
自分に醜さがあると知る
自分が愚かなのだと理解する

言葉が残る
幾つかの大切な言葉だけ
「ありがとう」
「ごめんなさい」
そうして
ただ静かに穏やかに祈りたいと思う

2020年01月12日

ありがとうの祈り


どんなことも
恨めしく思えば恨めしくなり
憎らしく思えば憎らしくなり
いくらでも
自分以外のせいにできる
だから
ありがとうと口ずさもう
ありがとうを探してみよう
なぜなら
ありがとうは絶対に見つかるから
それは自分にも穏やかさをもたらすから
ありがとうは祈りだから

2019年05月10日

安心のための祈り


不安は不思議といつも横にいる
困ったものでいなくならない
横にいて
大人しいときもあれば
私をいじめるときもある
お前なんかいなくなれ!
けれどもいなくなったことがない
これじゃ安心は
いつまでたってもえられない
そう思いきや
不安が大人しいときは
安心だと思っているときもある
そうして気づく
不安もいなくなってしまっては
いなくなったことに不安になるのかも
そうして気づく
不安が横にいたとしても
安心を持てるものなのかもしれない
私に安心を与えてください
私は不安を取り除いてとは望みません
ただ安心を持てるようにしてください

2019年04月03日

春、ヤマの祈り

 

早春早朝
都会のヤマで
ドロボウ市でたむろする
今は使わぬ道具を見ては
東京タワーを建てし自分を
誇る口上なめらかに
見上げた空にはスカイツリー
時は過ぎしと歩き出す
右手の杖がカツカツ鳴る
ヤマの歌人は一歌詠む
白月を 刺したる串は
変わりしも
あの日とおなじ 市は止むまじ

晩春夕暮れ
都会のヤマで
ドロボウ市と同じ路地
顔ぶれ同じし行列は
炊き出し求めて集いしも
囁く鼻歌悲し気に
見上げた空から泪雨
腹を鳴かせて歩き出す
左手の杖がコツコツ鳴る
ヤマの俳人は一句詠む
落ち桜 踏みし足々 杖まじり

歌に祈り、句に祈り
祈りと共にヤマを生きる

2019年02月27日

無題の詩


いつもそばにいてくれる
いつも想っていてくれる
いつも見ていてくれる
いつも聞いてくれる

いつも微笑んでくれる
そんな人がいると言うのなら
それはあなたを大切に思ってくれている人
だから
あなたも大切に思う人にそうしよう
そんな人がいないと言うのなら
それは神さまがしてくれているから大丈夫
だから
あなたも大切に思う人にそうしよう

2019年01月30日

トンネルの祈り


私たちは人生において
度々トンネルに潜り込んでしまう
光が見えなくて
長い長いトンネルに
でも
出口のないトンネルはない
そして
トンネルは長くなんてならない
私たちの歩みがはやければ
トンネルは短く感じ
光は見えすぐに大きくなる
私たちが歩みを停めれば
出口へはいつまでも辿りつけず
終わりのない暗闇となる
トンネルの所為ではないのだ
わたしの歩みの所為なのだ
歩み続ける強さをお与えください

2018年12月14日

時の祈り


時とは
待つには遅く
過ぎ去りしははやい
時とは
辛苦には長く
喜楽には短い
同じく刻みすすむのに
感情によって違い
年齢によって違い
人が違えばそれによっても違う
そんな“時”という波を
私は唄うように祈りながら
ただひたすらに漕いでいく

2018年11月18日

ブナの祈り

 

ブナの木が水を求めて
ゆっくりと根を伸ばすように
私は成果を焦らずにいられるであろうか
タンポポが綿毛をつけて
多くの種を飛ばすように
私は成果を恐れずにいられるであろうか
なぜ私は速さと合理ばかりに縛られるのか
そんな狭い了見の私だということを
樹木や草花を通して
あなたが創ったすべてのものを通して
たえまなく教えてください

2018年11月03日

仄かな祈り


素直になれないから
仄かに感謝する
目立つのは苦手だから
仄かに手伝う
恥かしがり屋だから
仄かに笑う
彼の思いを想像できるから
仄かに寄り添う
世の理不尽に溜息するから
仄かに祈る
心に沸き立つものがありながら
いつも静かに覆い隠すのは
下手と軟弱と自信の無さを知りてこそ
それでも
仄かにでも

2018年10月03日

夜明けの祈り


夜の静寂を抜けて
新たな朝を迎えるがごとく
私たちは明かりを求める
夜明けに希望を重ねる
されど
暗夜にしか見えぬものもある
夜明けを迎え
失うものもある
星々の瞬き
夜道を照らす月明り
ただ夜明けを待つだけでなく
夜明けを恨めしいとも思えるならば
はじめて私は
求めし明かりを知るのであろう

2018年08月29日

風の祈り


花粉をはこび
渡り鳥を乗せ
季節の香りを届ける
そんな風は
命をつくり
出会いをもたらし
思い出をよみがえらせる
目に見えないものでありながら
かたちのないものでありながら
その存在を万物が知り
その恩恵を万物が得る
風を思うこころの如く
感謝の祈りを捧げよう

2018年08月07日

選択の祈り

 

生きているかぎり
選択することからは逃れられない
意識して選び
無意識のうちに選び
そうして小さき者が
今ここにいる
ときとして
選択から逃れようとしてみても
逃れようとすることさえも
選択だと気づかされる
それなのに
何故選択から逃れようなどと
そんな思いを抱くのか
傷つけることを
傷つくことを
怖がるだけの小さき者が
今ここにいる
選択とは何かを
祈り乞うなら
あなたは教えて下さるであろうか

2018年07月22日

赤心の祈り

 

いつわりのない心でありたいと
願いながらも
いつわるのである
いつわりのない笑顔を向けようと
誓いながらも
いつわるのである
かの人に誠実であらんとすることで
いつわる心を持つことがある
かの人に誠実にあらんとすることで
いつわりの笑顔を見せることがある
かの人が辛くなるかと思いて
かの人がいぶかしむかと思いて
そんな理由でいつわることは
赤心ではないのであろうか
それさえも見いだせない私の祈りを
どうぞお聞き下さい

2018年07月07日

声の前の祈り


失ったと思う
奪われたと思う
そうして何かを恨み
苛立ち
悲嘆し
欝々として
虚無と破滅に支配される
支配された耳と心に
聴こえ届かせる声とは
どんな音色で
どんな含意の声であろうか
失っていないもの
残っているもの
それらに気づくための声
もともと持っていない
だから失わず奪われない
そのことに気づくための声
そんな声はあるのだろうか
そんな声はないのであろう
だから声だけに頼らず
声にならない幾多のものを
忘れぬ心を
お与えください

2018年06月22日

春花の祈り


春花の美しさ
それは小さくて
淡くて儚いがゆえでしょうか
うつろい往く「時」をまとわせて
それはあたかも
うつろい往く私のこころと重なるからでしょうか
とどまらぬ春花の散りゆくさまに
沈むこころが合わさるのです
されど
花が散るが摂理なら
こころもうつろわぬは不自然なこと
うつろい往く中で
幸いかな伴に旅する人とものを
与えてくださるあなたが
私の沈むこころを
幸いなるものとしてくださる
うつろい往くのを受け入れさせてくれるのです

2018年06月08日

今日の祈り


悩みも辛さも苦しさも
自分が生み出しているだけのもの
そして
それは生きているからこそ感じるもの
昨日も感じたように
今日も明日も感じるのであろう
なくすことが出来ぬものなら
なくそうと足掻いても愚
それらを纏う日々の中に
ささやかな喜びや嬉しさや楽しさを
自分が生み出して
膨らますことが出来るなら
膨らまそうと気張りたいのです

2018年05月25日

解放の祈り


屈辱を感じるのは
しがみついた自負があるから
恨みを持つのは
捨てられない過去があるから
妬みを抱くのは
とらわれた劣等感があるから
それらすべては
固定した心がつくる
それらすべてに
所有を望む心がつながる
宵を迎えて固定を眠らせ
朝を迎えて所有を忘れる
そんな自由な心をお与えください

2018年05月12日

和らぎの詩


悲しい時に悲しいと言う
つらい時につらいと言う
淋しい時に淋しいと言う
それは自分の苦しみを知ってほしいと言うこと
それはとても大切なことなのであろう
自分が和らぐかもしれない
でも出来ればそれらをのり越えた時に
笑って「それでも人生はまんざらでもない」と言う
それは他人の苦しみを少しは分かると言うこと
それはきっと大切なことなのであろう
誰かが和らぐかもしれない

2018年04月25日

仮庵の祈り


もしもわたしにできるのならば
"かりいほ"の役目をお与えください
疲れたときに休め、
空腹のときに食せ、
悲嘆のときに篭れ、
悩みのときに問え、
孤独のときに話せ、
病いのときに癒せる
そんな"かりいほ"に
できるのならば
ならせてください
持たぬ人に持ちえるまでの
見失った人に見つけえるまでの
そんな"かりいほ"に
できるのならば
ならせてください

2018年04月14日

わたりの祈り


今日と明日の間に
はっきりとした区切りはないのであろう
昨日と今日にも
明日と明後日にも
ないのであろう
それでもわたしたちは
昨日をおわりとし
今日からはじめる
今日をおわりとし
明日にのぞむ
そうして次々と転生をつくり
辛苦を忘れ置き
喜楽を糧とする
それでも綿々と
つながりゆく毎日を
悪しとせず良しとするは
観想たる祈りと活動たる祈り
日々をわたる祈りのうちに

2018年04月04日

わたしの祈り


わたしは
その花の美しさを
語り伝えることはできても
その花が与えてくれる感動を
同じように
携えることはできない
わたしは
その木の強さを
語り伝えることはできても
その木が風雪雷雨に耐える様を
同じように
体現することはできない
花になれるならばと
願うこともある
木になれるならばと
悔しがることもある
されどわたしは
花にも木にもなれはしない
なればこそ
花を愛(め)で
木を慈しみ
わたしはわたしのままでいよう
何も持たないわたしに
愛と慈しみを持たせてください

2018年03月21日

流動(ながれうごき)の詩


不寛容よりも寛容が良いと知っている
暴力による争いよりも対話による一致が良いことを知っている
嫌悪を抱くよりも友愛を携える方が良いと知っている
偏見と高慢よりも公平と謙虚が良いことを知っている
疑念と妬みよりも信頼と誠実が良いと知っている
つまりは
betterなものはどちらかと問われるならば選ぶことができる
ただbetterはbestでないことも知っている
そしてbetterにしようとするときには
概して自分がworseに立っているものだということも知っている
だからそこに答えが出ないことも知っている
だから固定せずに考え悩み続けることしかできないことも知っている

2018年03月14日

邂逅の祈り


思いがけなく
出会ったり
再会したり
そんなあなたのわざは
私の心を豊かにしてくれる
人とのそれも
出来事とのそれも
あなたはいつも
のぞむかたちとは別のかたちで
私に与えてくださる
知りえぬ私は
ときを過ぎてより
あなたのこころにふれる
知りえぬ私は
ときを過ぎてなお
あなたのこころにふれえず
そんな私を待ってくださる
そんな私を赦してくださる
私もあなたのするとおり
私のまわりに出来ますように

2018年03月07日

無知の祈り


わたしの手の使い方を知らせてください
壊すだけではなく作るための使い方を
わたしの目や口の使い方を知らせてください
見て話すだけではなく笑顔のための使い方を
わたしの足の使い方を知らせてください
歩みすすむだけではなく支え立ち上がる使い方を
わたしには上手に使えないことばかり
備えてくださったものたちを
浅はかなる私の考で使うばかり
操れるようにとは望むべくもなく
ただ少しでも役立てられれば
こんな願いも私のおごりならば
せめてあなたの意に背かぬ使い方を知らせてください

2018年02月28日

無為なる祈り


彼はここに居ればよいと言う
どこにも行かず
だれとも会わず
なににもかかわらず
そうしていれば
苦しまず
悲しまず
裏切られず
傷つかないと
だけどここに居るだけでは
埋まらず
変わらず
充ちず
望めない
彼はここに居たいのか
そうではない
彼は何もしたくないのか
そうではない
居る他になく
しない他にないだけなのだと
しかし
彼の無為なる祈りはある
このように誰かに話す彼は
すでに誰ぞに会っていて
何かにかかわり始めている
そして
そんな無為なる祈りは次を生むのであろう

2018年02月21日

日々の祈り


悩みや辛さ
苦しさや悲しさ
出来事としてあるように思っていた
誰かにそれを投げつけられていると思っていた
よく考えると違っていた
出来事ではなく思考であった
外からくるのではなく
自分が生み出しているものだった
何よりも生きているからこそ感じるものであった
明日も感じるのであろう
明後日も感じるのであろう
感じる毎日の中で
つつましき喜びと
ささやかな楽しさを
生み出せますように

2018年02月13日

冬、ヤマの祈り


冬の深夜
都会の山谷(ヤマ)で
路上に布団を敷いて縮こまる
寒く凍てついた空気を
吐息が白く揺らめかせる
温かい缶コーヒーを渡すとき
その手の冷たさが痛々しい
澄んだ空気が月を輝かす
彼は詩人か文人か
輝くならば暖も与えよと
月に一言もの申す
冬の明け方
都会の山谷(ヤマ)で
煙草が欲しいと手延べで歩み来る
寒く凍てついた空気を
トラックの風が騒がせる
煙草とボッケのカイロを渡すとき
ライターを囲む手が震えている
熱のない太陽が差し込む
彼は歌人か俳人か
陽より火が恋しいと
太陽に一言もの申す
神よ
あなたが創りし星々の
その熱を願わぬだけの温もりを
路上の人々に届かせ給え

2018年02月07日

無題の詩


失敗ばかりしている
間違えてばかりいる
妬んでばかりいる
誤魔化してばかりいる
嘘ついてばかりいる
天狗になってばかりいる
そんなことばかりの自分に気づく
だから自らを批判する
私は失敗し
間違え
妬み
誤魔化し
嘘をつき
天狗になっているではないかと
自らへの批判の先に何を得るであろう
それが分からずとも
自らへの批判をやめることはせずにいこう
せめて自らを少しくらい認ることのできる者になるために

2018年01月31日

石ころの祈り


あなたは自分を石ころにたとえる
誰の目にもとまらず
その存在を認めてもらえずにいると
何の役にもたたず
どの道にあっても掃かれるだけだと

石ころを作りたまうた方はあなたを何にたとえよう
大地にあっては大地をつくり
流れにあっては水を浄化させ
手にあっては時を待つ友となる
やはりそんな石ころとたとえよう

わたしは石ころを何にたとえよう
風雨に耐えながら丸みを帯び
助力を願うときにはそこにいる
やはりそんなあなたにたとえよう

“石”は意思であり
“ころ”は心である
石ころを作りたまうた方とわたしはそれを知る
あなたは石ころを嘆かないで

2018年01月27日

小心者の祈り


小心者が故に不安でならない
しかしながら
その不安が
慎重さをもたらしてくれる
小心者が故に怖くてならない
しかしながら
その怖さが
備えを怠らぬようにしてくれる
そうして小心者の私は
いつしか大心となり
過信をもって過ちを起こす
再びあなたによって気づかされる
その気づきは
小心を恥じるものではなく
小心者であることの大切さを
心に刻ませる
わたしを小さい者としてください

2018年01月20日

弱き私の祈り


失ったと嘆いたことが幾度もありました
あなたはその都度
所有などなく、必要なものは常にあることを教えてくださいました
誤ったと落ち込むことが幾度もありました
あなたはその都度
気づきを得、謙虚であることの大切さを教えてくださいました
人を傷つけたと後悔することが幾度もありました
あなたはその都度
だからこそ優しく、愛を持つことを教えてくださいました
いまだ嘆き、落ち込み、後悔します
あなたはその都度
その繰り返しの中で生きることの大切さも教えてくださいました
今日もまた教えてください
明日もまた教えてください
そうして隣にいる人にもあるその繰り返しを
あなたの意に背き私が責めぬよう見守ってください
弱き私を見守ってください

2018年01月14日

思いやりの祈り


自分たちの主張で
誰かを傷つけて
傷つけられた誰かの暴走を理由に
自分たちの主張こそが正しいと頑なになる
それが自由だと定義する
そんな“私”がふえている
権利と正義をたずさえて
それらがすべてにまさると思い込み
思いやりを置き忘れ
自分も他人も説得しようとする
それが理だと定義する
そんな“私”がふえている
“私”の自由が
誰かを傷つけるものとしない
そんな心を祈り願う
“私”の理が
思いやりを置き去りにしない
そんな心を祈り願う

2018年01月08日

呼ばずの祈り


あの“悪しきもの”は誰が呼んだのか
突然現れた訳ではない
私たちが気づかぬうちに
平凡で正しいと思われし選択を
積み重ねて
積み重ねて
隣人の理と義の主張に
納得して
納得して
悪を生まぬためにと考えた先に
私たちが呼んだのであろう
そうしてその無作為なる繰り返しの中で
呼んだことに気づかず
“悪しきもの”は突然現れたと
私たちには落ち度はないと
“悪しきもの”への鉄槌を後押しする
あの“悪しきもの”は誰がそう呼んだのか
見知らぬ誰かが呼びはじめた訳ではない
私たちが呼びはじめたのである
何故悪しくあるかも知らず
攻め立てて
攻め立てて
同じ括りの枠を決めて
偏り見て
偏り見て
新たな溝と懐疑をつのらせて
私たちが呼んだのであろう
そうしてその無作為なる繰り返しの中で
“悪しきもの”は突然現れたと
私たちには落ち度はないと
“悪しきもの”への鉄槌を後押しする
私たちの平凡とも言える毎日に
そんな陥る穴があることを
忘れぬ力をお与えください

2018年01月05日

鏡の詩


己を見ようとするならば
鏡で見るしか術がない
顔も後姿も全身も
鏡がなくては見えやしない
しかも何故だか不思議にも
鏡が映すその姿を
時には己と疑わず
時には誰ぞと目を擦る
鏡がなくては己も見えず
鏡を見てさえ己が分からず
知りし己はその程度と
鏡に映った己が笑う

2017年12月31日

言葉にならない祈り


どんなに言葉を発しても
言いあらわせないのです
どんなに言葉を探しても
言いあてられないのです
どんなに言葉を並べても
言い尽くせないのです
わたしのこころにある
誓いや感謝
願いや叫び
疑問や不安
すべての祈りは言葉にしきれないのです
だから言葉を使わずに祈ります
そしてこの祈りと同じく
するにたるべきことならば
言葉にできずとも
おこなえますように

2017年12月27日

壊れものの詩


人は壊れもの
こころは壊れもの
関係は壊れもの
ゆがんだり
砕けたり
失われたり
支障をきたしたり
崩れたり
乱れたり
そう、壊れるものなんだ
だから壊れないために
だから壊れたときのために
傍らにはもう一つ二つ…と
”人”がいて
”こころ”があって
”関係”がある
壊れもののためにあるものは
やっぱり同じ壊れものたちなんだ

2017年12月24日

感じ方の祈り


悩みも
辛さも
苦しさも
そして悲しさも
自分がそのように感じ
自分で生み出しているだけのもの
生み出すならば
これからも感じるのであろう
自分だけがと思わぬ心を持てますように

怒りも
落胆も
憤りも
自分がそのように感じ
自分で生み出しているだけのもの
生み出すならば
これからも感じるのであろう
他人の所為だとしない心を持てますように

よろこびも
たのしさも
うれしさも
自分がそのように感じ
自分で生み出しているもの
生み出すならば
これからも感じるであろう
多くのことをそう感じられる心を持てますように


2017年12月22日

ヤマ(山谷)の祈り


家がないことと家があること
食べられぬことと食べられること
風呂に入れぬことと風呂に入れること
金がないことと金があること

それは、幸、不幸を分けるものではない
それは、優、劣を分けるものではない
それは、与、貰を分けるものではない
それは、私の心の貧富を分けるものである

可哀相と思う心の貧しさ
蔑んで見る心の貧しさ
誇りたいと思う心の貧しさ
違いを探す心の貧しさ

分かち合える心の豊かさ
自分に置き換えられる心の豊かさ
無知を知る心の豊かさ
違いを受け入れられる心の豊かさ

貧しき心に気づかせてください
富める心に気づかせてください

2017年12月20日

我観の祈り


わたしは分かっているだろうか
わたしが説いていることの偏りを
わたしは気づいているだろうか
わたしが考えていることの見落としを
わたしは感じているだろうか
わたしが信じていることの思い込みを
わたしは認めているだろうか
わたしが論じていることの未熟さを
わたしは悟っているだろうか
わたしが望んでいることの勝手さを

一日にあっては戒めて
別日にあっては忘失し
常に思いとどめることさえできない
それゆえ我観の至らなさを
せめて覚えさせたまえ

2017年12月20日

つもりの祈り


わたしは知っていると思っていた
知識を得て
思慮に耽け
問答を交わし
それで知っていると思っていた
わたしは知ってはいなかった
知識は知恵に至らず
思慮は実感に至らず
問答は悟達に至らず
つまり知ってはいなかった
“知ったつもり”
そのことを知った
くり返しくり返し
知ったつもりになる私を
飽きもせずに気づかせてください
そして知りえることなどないことを
忘れぬように致します

2017年12月17日

土の詩


美しき花
それは土に咲いている
豊穣なる稲
それは土から伸びている
清冷なる湧水
それは土から湧いている
夏作る蝉声
それは土に中にて育つ
我々の目、耳、口は
土より出しものらによって福をえる
しかしいつしか我々は
土上にコンクリートを敷き詰めて
みずから土を遠ざけた
土を感じぬ毎日は
生を感じぬ毎日に
土から生まれた我々は
帰りし土を求め彷徨う

2017年12月17日

きづ(ず)きの祈り


何故こうも他人の過ちや悪しきを拾うのか
せっせと拾っては
誰ぞに見せてみたり
己でも拾ったことをほくそ笑んだり

何故こうも己の過ちや悪しきを埋めるのか
せっせと埋めては
誰ぞの目を気にしたり
己でも埋めたところを忘却したり

何故こうも気づかないのか
それが如何に悲しいことなのか
いいや気づいているのであろう
さればこそ
かくのように思い悩む

築く力を祈り求める
“気づき”の煉瓦を築きあげる力を祈り求める
せっせと築いては
誰ぞの目にもとまり
己でも築いた“気づき”に導かれよう

2017年12月17日

歩みの祈り


優しいに越したことはないが
優しければ良いというものでもない
強いに越したことはないが
強ければ良いというものでもない
聡いに越したことはないが
聡ければ良いというものでもない
されど優しく
されど強く
されど聡くあらんと歩み祈る

厳しさを己に向けてこそ優しさと知りつつ
その優しさをもととし
弱さこそが強さと知りつつ
その強さを糧とし
愚かしく思えるものが聡さと知りつつ
その聡さを悟らんとし
されば優しく
されば強く
されば聡くあらんと歩み祈る

2017年12月17日

援(たすけ)の祈り


正しいと言い切ることが
寛容を捨てていることを
わるいと言い切ることが
想像を捨てていることを
いつも忘れぬ強さを与えてください

頑なであることに気づき
前出をなぞっているだけの
無考に気づき

色だけにたよらぬ目を
音だけにたよらぬ耳を
形だけにたよらぬ手を
持つことができますように

2017年12月17日