窓辺の祈り


目に映るあざやかな新緑の木々
その匂いを吸い込むことはない
ゴトゴトと吹きあたる木枯らし
目を細めて塵をさける必要はない
一面を灰青色に染める長い雨
手先がかじかみ冷えることはない
私はいつも窓辺に立っている
透明な薄い一枚の隔たりのあちらを
目と耳でしか感じぬ窓辺に立っている
陽の光が射し込む
温かな空気が窓辺の私を包む
窓辺にいながら目と耳以外で感じとれる
そのいざないは私に窓の鍵を開けさせる

2020年08月31日