友愛会の支援者への手紙 54

 

被害者の思い、加害者の悔い
  ※不快に思われる方がいるかもしれない内容です

友愛会には、DV(親密な関係にある相手からの暴力)の被害にあっている方からの相談が多い。
暴力を受け、生活を縛られ、逃げたいのに恐怖と不安から逃げられない。
やっとの思いで逃げても、イネイブリングに陥った心から逃れられない。
イネイブラー(イネイブリングしてしまう人)とは、知らぬ間に問題行動を陰で助長している身近な人のことです。本人の自覚なしにそんな役割を担ってしまう。この「共依存」的な囚われた心が、DV加害者に再び接近していく結果をもたらしてしまう。
この様な自分自身でも気づけていない「虜性」も含め、“被害者”という立場にある方への思いから、加害者への怒りと憤りをおぼえる。
かたや友愛会には、刑期明けの方(刑務所出所者)や保護観察処分中の方の生活再建についての相談も多い。
傷害や窃盗、詐欺などの事件を起こした、“加害者”であった彼ら。
悲しくも更生できない方も多い中で、悔いて改めて生きていこうという方もいる。
しかしながら、世間は「ムショ帰り」に冷たく、それは彼らが挫けてしまうほど威力を持つほどである。
悔い改めようとする“加害者”という立場にある方への思いから、社会のレッテルと冷たさのようなものを感じる。
ひとつひとつの出来事、ひとつひとつの立場、視点が変わることで答えを失う。
被害者の相談から加害者への…、加害者だった方からの相談から社会への…。
「寄り添う」と言うならば、どこに寄り添っていくのか。
人の世に起こることには、絶対性をもった答えがないことを日々感じる。

2020年11月20日