呼ばずの祈り
あの“悪しきもの”は誰が呼んだのか
突然現れた訳ではない
私たちが気づかぬうちに
平凡で正しいと思われし選択を
積み重ねて
積み重ねて
隣人の理と義の主張に
納得して
納得して
悪を生まぬためにと考えた先に
私たちが呼んだのであろう
そうしてその無作為なる繰り返しの中で
呼んだことに気づかず
“悪しきもの”は突然現れたと
私たちには落ち度はないと
“悪しきもの”への鉄槌を後押しする
あの“悪しきもの”は誰がそう呼んだのか
見知らぬ誰かが呼びはじめた訳ではない
私たちが呼びはじめたのである
何故悪しくあるかも知らず
攻め立てて
攻め立てて
同じ括りの枠を決めて
偏り見て
偏り見て
新たな溝と懐疑をつのらせて
私たちが呼んだのであろう
そうしてその無作為なる繰り返しの中で
“悪しきもの”は突然現れたと
私たちには落ち度はないと
“悪しきもの”への鉄槌を後押しする
私たちの平凡とも言える毎日に
そんな陥る穴があることを
忘れぬ力をお与えください