友愛会の支援者への手紙 46

 

障がい性の横に生じる障がい性

カサンドラ情動剥奪障がいをご存じの方はまだ少ないのであろう。
以前NHKの番組で特集していたので、少し理解が広がっているかもしれない。
番組ではちょっと内容に違和感のある伝え方だったが、マスコミはいつもそうなので、そこはほじくってもしかたがないと思う。
カサンドラ情動剥奪障がいは、アスペルガー症候群(現在は自閉性スペクトラム障がいという)のパートナーと情緒的な相互関係を上手く築けないために生じる障がいである。
身体的、精神的に色々な症状が引き起こされる。
パートナーとのコミュニケーションが上手くいかず、わかってもらえないことや伝えられないことから自信を喪失する。
そんな家庭内での関係性とは反して、世間的には問題なく、場合によっては良き家庭人に見えるアスペルガー症候群のパートナーに対して、発散のために不満を口にしても周囲には理解されない。
そういった喪失と葛藤から、精神的、身体的に苦痛が生じ疲弊していくのである。
ストレス性障がいとも言えるカサンドラ情動剥奪障がいの症状は多彩で、偏頭痛、体重の増加または減少、自己評価の低下、パニック障がい、抑うつ、無気力などなどである。
カサンドラだけでなく、アルコール依存症家庭の子に生じるアダルト・チルドレン(現在は愛着障がいという)などもそうだが、障がい性のある人の身近にいる人が障がい性を引き起こされることは少なくない。
どんな障がいや疾患であっても、その対象者だけへの支援・援助だけでなく、その人を取り巻く環境や小社会へのかかわりはとても大切である。
ケースワークは常にグループワークであることを忘れてはいけない。

2019年05月10日