春、ヤマの祈り

 

早春早朝
都会のヤマで
ドロボウ市でたむろする
今は使わぬ道具を見ては
東京タワーを建てし自分を
誇る口上なめらかに
見上げた空にはスカイツリー
時は過ぎしと歩き出す
右手の杖がカツカツ鳴る
ヤマの歌人は一歌詠む
白月を 刺したる串は
変わりしも
あの日とおなじ 市は止むまじ

晩春夕暮れ
都会のヤマで
ドロボウ市と同じ路地
顔ぶれ同じし行列は
炊き出し求めて集いしも
囁く鼻歌悲し気に
見上げた空から泪雨
腹を鳴かせて歩き出す
左手の杖がコツコツ鳴る
ヤマの俳人は一句詠む
落ち桜 踏みし足々 杖まじり

歌に祈り、句に祈り
祈りと共にヤマを生きる

2019年02月27日