その人にとって必要なお手伝いとは
友愛会で行う生活支援?というか利用者さんへのかかわりは幅が広い。 今までの友愛会の利用者さんたちへのかかわりを思い起こしていくと、友愛会は何屋さんなんだかわからなくなる。
ずいぶん昔、男性利用者の一人が東南アジアの女性といつの間にか婚姻させられていたということがあった。 本人の話では、友愛会に来る以前、路上生活をしていてお金が全くなかった時に、繁華街のはずれで「署名と押印をしてくれたら2000円出す」と言われて応じたことがあったという。 借金の保証人とかではないことを確認したが、お腹が空いて朦朧としていたのでよく読まずにサインしたとのこと。 どうやらそれが婚姻届であったようだ。
何はともあれ除籍の手続きをしなくてはならない状態だが、もちろんその女性が現れるわけもないので、家庭裁判所ではなく地方裁判所の案件となった (詳しくは分からないが、本人は頑として弁護士や司法書士を入れずに進めていたらそうなってしまったようだ)。
裁判所の職員に、裁判資料として女性の住所地(実際はそこには別の人が住んでいる様子)の写真などを添付してほしいと言われ、本人は撮りに行ったのだが、見ず知らずの人に絡まれてカメラを取られてしまったと言うのである。
その後、今度は私が付き添い、もう一度女性の住所地に写真を撮りに行った。 同じ轍は踏まぬよう、望遠レンズで遠くから隠れて撮る。 建物を出入りしている人を見ていると外国人ばかりである。 男性利用者とびくびくしながら、そそくさと逃げるように帰ってきた。
いやはや、なんだか探偵のような仕事であった。
内縁の夫を亡くし、生活する気力と術がなくなったと入所してきた女性は、甲信越地方から東京に出てきて友愛会にたどり着いた。 半年前に住んでいたアパートを出たときに、家財道具を地元のコンテナ倉庫に預けてきたが支払いが3〜4ヵ月滞っていて、生活保護を受けた福祉事務所に相談したが「諦めろ」と言われたとのこと。 本人にとって亡夫の形見も入れてあるとのことで、毎日泣いていた。
私は車を出して女性利用者と片道3時間の旅に出た。 コンテナ倉庫に行くと、もちろん未納分を支払わなくてはならない。 料金を立替えて払い、亡夫の形見以外で売れるものを近くのリサイクルショップに売りに行き、残りの立替え分はゆっくりと友愛会に返済することにした。 なんだかんだと捨てられない荷物が多く、車をいっぱいにして帰ってきた。
いやはや、なんだか引越し屋のような仕事であった。
年金で細々と暮らしている老女が入所した際は、ちょっと怖い金融会社との交渉にも赴いた。 3年ほど前にお金がなくなって借りて以来、抜け出せなくなり老女はカモにされていた。
二ヶ月分で20万円と少しの年金であったが、彼女が借りていたのは10万円。 二ヶ月に一度の年金支給日にすぐに支払いに行くと、利子を含め12万円の支払いをさせられる。 本人は支払って、残り8〜9万程度で1ヶ月生活する。 次の月にはお金がなくなるのでまた10万円借金をする。 その翌月には、また支払いに行き同じことを繰り返していた。 何もしなくても金融会社が毎月利子を儲けられる図式だ。敵ながら上手いものである。
感心していても仕方がなく、老女と一緒に金融会社へ行く。 支払いを済ませて、訳の分からない念書のようなものを整理し断ち切る。 その後は友愛会が生活費を整理して、負担なく暮らせていけるようにしていった。
いやはや、交渉人のような仕事であった(笑)。
身寄りがなく生活に困難をきたしている人にとって、この社会の中でお手伝いしてくれる人が見つかりづらく、その困難の原因になっていることは、得てしてこのようなかかわりが必要なものである。
- 健康管理も大切(医療的な支援)
- 日常生活などの援助も大切(介護的な支援)
- 司法的なことや金銭管理的な援助も大切(後見人や権利擁護としての支援:これはある意味公的な支援を使うべきですね)
ですが、それらの支援制度が届かないところ、すなわち専門性がないある意味「家族的な支援」がないことで「生きづらさ」がつくられていることも多いのである。 その人にとって必要なそんなお手伝いをすることも、大切な支援であろうと思うのである。
